Life, Education, Death

プログラミング以外でも思ったことをつらつらと書きたい

構造デザイン講義を読んで

読んでいくつか気になる言葉があった

たまに違うジャンルの本を読むことはすごく刺激になるので、プログラミングに関係ない本にチャレンジしていこうと意識している。

今回はふと目についたので、建築分野の本を読んでみた。
「構造デザイン講義 - 内藤廣」は実際に大学で行っていた講義内容を整理して本にまとめた一冊。
はじめにと7章の構造デザインの最前線は建築に携わらない人でも興味を持てる内容だった。文章は話したことをそのまま本にしたため口語が多い。(笑)とか出てきたので、ちょっと笑ってしまった。
プログラマーとしての視点で見たときにいい言葉があったのでいくつか引用してみた。

デザインこそは、土木であろうと建築であろうと、また他の工学分野にしても、すべてのエンジニアが持つべき能力だ。デザインマインドをなくして社会は語れない。工学が社会と向き合うことを止めない限り、エンジニアにとって、デザインは必須の教養であり、必要不可欠の武器なのだと思う。デザインこそは、技術の周辺にあるのではなく、コアにあるべきものだと考えている。講義にはそういう信念をもって臨んだ。だから「構造デザイン」なのだ。若者達の頭のどこかでにこのことを植え付けておけばいい、いずれそれは彼らが実社会の中で各々のやり方で活かしてくれるはずだ。そういうことを勝手に想像しながら、講義をした。

(P6より)

何を作り出すにしても、人と接触するインターフェースの部分(CUIGUIなど)がかならず存在するのでその部分のデザインに気を使えるかどうかがいいプロダクトになるかどうかの大きなポイントになると思われる。
自分を含めなかなかデザインに触れる機会の少ないエンジニアは多いと思うので、もっと触れやすい環境があるといいなぁと思った。



朱鷺メッセ連絡橋が落下した事故やシャルル・ド・ゴール空港の屋根の一部が崩落した事故についての感想の部分

これらは構造計算技術の問題ではなく、エンジニアが構造全体に対する想像力を持ち得なかった結果です。コンピュータによる解析への過信、物質を構成するエンジニアリングへの油断、そうしたものへの想像力への欠如、その結果起こることの恐ろしさを知ってほしいのです。残念亜柄、こういうことはみなさんがデザイナーになろうと、解析技術を磨いて構造エンジニアになろうと、また、建築であろうと土木であろうと構築物に関わる仕事をしていれば、これからますます起こる可能性が高くなっていると、いうことを忘れないでほしいと思います。(中略)

工学的な知識を土台にして、どのようにすれば物質に対する感性を磨けるか、どのようにすれば、構造全体に対して想像を巡らせることが出来るか。そうしたことがこれから重要になっていきます。極論をすれば、これらを欠いた人は、エンジニアになる資格がない。もちろん、建築家になる資格もありません。

(P20〜21より)
これもソフトウェアの世界に共通していることかなと思います。
Aを実装したときに、どういうバグの可能性があるのか想像できる経験値がたまっていれば、もしバグに遭遇しても簡単に対応できると思います。事前にassertを適切なところに仕込める勘や、空気を読んだうまい設計が出来るのには簡単に本で学べない職人的な勘が要求されているように思えます。
本で学んだことだけで満足してはいけないなと感じました。

まとめ

ざっと読んだので、肝心な材料に関する記述は飛ばしてよみました。
建築とソフトウェアで分野が全く異なるように見えますが、結構根底の哲学には互いに学び合えることがあるように思えました。